小売電気事業者になるには?登録方法や各コードの取得手順

小売電気事業者として登録する方法や手順についてご存じでしょうか?

「小売電気事業者として登録する方法や手順を知りたい」
「小売電気事業者の登録にかかる期間を知りたい」

上記のような方に向けて、この記事では、
● 小売電気事業者の概要
● 小売電気事業者の登録方法・手順
● 小売電気事業者の登録にかかる期間
などについて、分かりやすく解説いたします。

小売電気事業者とは?

そもそも小売電気事業者とは、電気事業法によって定められた電気事業者の一種で、小売電気事業を営むための登録を経済産業大臣から受けた事業者のことを指します。
小売電力事業は、もともとは各地域の一般電力事業者(東京電力や関西電力など)しか行うことができませんでした。しかし、2016年4月1日から始まった「電力の小売全面自由化」によって、新たに「小売電気事業者」の登録を行った事業者が、「低圧」区分の家庭や商店向けの電力の小売に参画できるようになりました。

「小売電気事業者」の登録はだれでもできる?

「小売電気事業者」の登録は、法人・個人を問わず行うことができます。また、法人の場合、法人形態(株式会社、合同会社、一般社団法人など)や資本金の額などによる制限もありません。

場合によっては「小売電気事業者」登録が拒否されることも

ただし、「小売電気事業者」の登録申請を行っても、場合によっては拒否されるケースもあります。「小売電気事業者」の登録が拒否される要件は、電気事業法「第二条の五」において、以下の通り規定されています。

1. この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
2. 第二条の九第一項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
3. 法人であって、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
4. 小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保できる見込みがないと認められる者その他の電気の使用者の利益の保護のために適切でないと認められる者

また、上記の他にも、申請のための書類に不備があったり、虚偽の記載があったりする場合も、登録を拒否すると記載されています。

小売電気事業者の登録方法・手順

ここからは、小売電気事業者へ登録するための方法について、順番に解説していきます。

①「電力広域的運営推進機関」への会員加入申込み

小売電気事業者の登録申請を行うためには、まず「電力広域的運営推進機関(広域機関)」の会員になる義務があります。広域機関への加入手続きは、電力広域的運営推進機関のWebサイトから行うことができます。

② 資源エネルギー庁へ小売電気事業登録申請書等の提出

広域機関への会員加入が完了したら、「小売電気事業登録申請書」等の書類を作成して、資源エネルギー庁へ提出します。なお、提出時は事前に資源エネルギー庁の「事前相談受付メールアドレス」宛にメールを送る必要があります。
また、メールを送る前に、資源エネルギー庁のWebサイトで公開している「小売電気事業登録申請書提出時チェックリスト」を確認することで、間違いや記入漏れを防ぐことができます。

小売電気事業者の登録を行うために、資源エネルギー庁へ提出が必要な書類は以下の通りです。

○ 小売電気事業登録申請書
○ 電気事業法第二条の五第一項各号(第四号を除く)に該当しないことを誓約する書面
○ 小売電気事業遂行体制説明書
○ 苦情等処理体制説明書

【申請者が法人の場合】

○ 定款
○ 登記事項証明書
○ 最近の事業年度末の貸借対照表及び損益計算書
○ 役員の履歴書

【申請者が法人の発起人の場合】

○ 当該法人の定款
○ 役員となるべき者の履歴書

【申請者が地方公共団体の場合】

○ 小売電気事業を営むことについての議決に係る議会の会議録の写し

【電力広域的運営推進機関の会員でない場合】

○ 電力広域的運営推進機関に加入する手続きをとったことを証する書類

○ 参考資料
・ 法人の業務内容が分かる資料(会社紹介用のパンフレット等)

○ 小売電気事業登録申請書提出時チェックリスト
資源エネルギー庁「小売電気事業の登録申請・届出」(外部サイト)

③ マスタ申請・登録(各種コードの取得)

まず「事業者コード」を取得するため、広域機関Webサイトから「事業者マスタ申込書」をダウンロードして必要事項を記載し、広域機関の窓口にメールで申し込みます。
その後、広域機関システムからマスタ申請・登録を行い、託送供給契約の締結に必要となる「事業者コード」「BGコード」や、各システム・各市場の利用等に必要な各種コードを取得します。

④ 広域機関システムの利用申請などの手続き

広域機関Webサイトから「システム利用申込書」をダウンロードして必要事項を記載し、広域機関の窓口にメールで申し込みます。なお、広域機関システムを利用するためには、「クライアント証明書の取得」や「システムの利用申請」が事前に必要となりますので、広域機関Webサイトの案内を見て進めてください。

⑤ 一般送配電事業者との間で託送供給契約を締結

各エリアの一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドや関西電力送配電など)との間で、託送供給契約を締結する必要があります。締結に関する手続き等は、各エリアの一般送配電事業者のWebサイトをご覧ください。

⑥ 広域機関が提供するスイッチング支援システムの利用手続き

広域機関が提供する小売事業者用の「スイッチング支援システム」に関して利用手続きを行います。利用手続きは、広域機関Webサイトの案内を見て進めてください。

⑦ 託送関連データ提供システムに関する手続き

一般送配電事業者は、小売電気事業者に対し、「30分電力量提供」「確定使用量の通知」「発電30分電力量提供」といったデータを直接提供する義務があります。そのデータ提供を受けるのに必要な「託送関連データ提供システム」の申請を、各一般送配電事業者に対し行う必要があります。
手続きなどについては、各一般送配電事業者のWebサイトをご覧ください。

⑧ 日本卸電力取引所(JEPX)への取引会員の加入(任意)

電気を売り買いするための日本卸電力取引所(JEPX)を利用する場合、取引会員の加入申請を行う必要があります。詳しくは、日本卸電力取引所(JEPX)のWebサイトをご覧ください。

⑨ 計画提出に必要なマスタの申請・登録、各種コードの取得

「供給計画」と「需要調達計画」の提出に必要となる、「需要調達計画マスタ」を取得します。「需要調達計画マスタ」の新規取得は広域機関システムから行えます。

⑩ 広域機関に計画提出

電気事業法や託送供給等約款に基づいて、定められた期限内に「供給計画」と「需要調達計画」を広域機関に提出します。提出期限については、広域機関が提供している「送配電等業務指針」に記載されています。

小売電気事業者の登録にかかる期間は約1ヶ月

経済産業大臣に対して行う小売電気事業者の登録にかかる時間(上記の工程で「②資源エネルギー庁へ小売電気事業登録申請書等の提出」に該当する部分)は、約1ヶ月程度とされています。ただし、登録申請が集中して混雑している場合、1ヶ月以上の時間がかかる場合もあります。

また、「小売電気事業登録申請書」を提出から登録までは、以下のように進行します。

1. 小売電気事業登録申請書を経済産業大臣に提出
2. 経済産業大臣が受理した後、審査
3. 経済産業大臣による登録および通知

登録完了後は経済産業省のホームページに掲載される

小売電気事業者として登録された事業者は、経済産業省のホームページにて掲載されます。掲載される情報は、会社の名称または氏名、住所、代表者氏名、登録年月日、提供予定地域などです。

社内に専門知識をもったスタッフが居ない場合は?

この記事では、小売電気事業者の登録方法について、詳しく解説させていただきました。しかし、なかには「小売電気事業に参入したいけれど、社内に専門知識をもったスタッフがいない……」といったお悩みを抱えている企業様もいらっしゃると思います。
そんな企業様には、エコスタイルでんきが提供するバランシンググループへの加入がオススメです。

バランシンググループ(需要バランシンググループ)とは、「代表契約者制度」とも呼ばれ、複数の小売電気事業者が一般送配電会社とひとつの託送供給契約を結び、小売電気事業者のなかで代表契約者を選定し、その代表契約者が一般送配電会社とのやり取りを一括で行う仕組みのことを指します。
バランシンググループへ加入するメリットとして、グループ規模が大きくなるほどインバランスの発生による料金負担リスク軽減や、代表契約者以外の小売電気事業者の業務負担を減らすというメリットがあります。
また、エコスタイルでんきのバランシンググループは、知識がないけれど電力事業をはじめたい企業様に対しても、新電力事業の立ち上げから電力需給管理や顧客管理などの業務までサポートし、新電力事業への参入を支援いたします。

エコスタイルでんきが提供するバランシンググループについて詳しくは、以下のページをご覧ください。

バランシンググループ(電力事業支援サービスのご案内)

まとめ

「小売電気事業者」は電気事業法によって定められた電気事業者のなかの一種です。電気の小売事業に参画したい事業者は、「小売電気事業者」として申請し、経済産業大臣から認可・登録を受ける必要があります。

「小売電気事業者」として登録するためには、大きく分けて以下の2つの手続きが必要です。
● 資源エネルギー庁(経済産業大臣)へ小売電気事業登録申請書等の提出
●「電力広域的運営推進機関」へ会員登録して各種マスタ・コード等の取得

また、電気の小売をスタートするためには、一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドや関西電力送配電など)と託送供給契約を締結する必要がありますが、社内に専門知識を持ったスタッフが居ない場合やインバランスによる料金負担リスクを軽減したい場合は、バランシンググループへの参加も有効です。

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