エアコン(クーラー)の冷房と暖房の1時間あたりの電気代はいくら?

夏場に必須の家電といえばエアコンですが、同時に電気代も気になるところではないでしょうか?

この記事では、エアコンの電気代を計算する方法や、冷房・暖房時に1時間あたりどのくらいの電気代がかかるのかについて、わかりやすく具体的に解説していきます。

エアコンの消費電力を示すのは3種類

エアコンの消費電力を示すのは3種類

カタログなどでエアコンのスペック(性能)を見ると、消費電力を示す「期間消費電力」「消費電力」「エネルギー消費効率」という3種類の情報が掲載されています。それぞれについてご紹介します。

■ 期間消費電力

エアコンは外気温によって消費電力が変わるため、冷房期間と暖房期間を定め、それぞれの外気温ごとの消費電力を合算して、「期間消費電力」としています。

期間消費電力の条件は日本工業規格(JIS)によって以下のように規定されています。

外気温度 東京をモデルとする
室内設定温度 冷房時27度/暖房時20度
冷房期間 5月23日~10月4日
暖房期間 11月8日~4月16日
使用時間 6時~24時(18時間)
住宅 JIS C9612による平均的な木造住宅(南向)
部屋の広さ 機種の性能に見合った広さの部屋

上記の条件は全メーカーで共通なので、「期間消費電力」を見ることでエアコンの消費性能を簡単に比較できます。

■ 消費電力

消費電力とは、「家電を動かすために必要な電気量」という意味です。
例えば500Wの家電の場合、1時間使用すると500Whの消費電力量になります。

ただし、エアコンにおける消費電力は少し複雑で、カタログにも

冷房時消費電力(W) 750(120~1,400)
暖房時消費電力(W) 910(110~4,000)

などと記載されています。

これはどういう意味かと言うと、エアコンは室内の温度と設定温度の差が激しい起動時に最もパワー(電気)を消費し、室内温度が設定温度に近づくとパワーを弱め消費電力が下がるためです。つまり、室内の温度に応じて消費電力が変動するため、このような表記になっているのです。

なお、暖房のほうが消費電力が大きいのは、
夏場の室内温度と設定温度の温度差(室内35度-設定26度=9度の差)よりも、
冬場の室内温度と設定温度の温度差(室内10度-設定28度=18度の差)のほうが大きいためです。

■ 通年エネルギー消費効率(APF)

通年エネルギー消費効率(APF)は、エアコンを運転した際の消費電力1kWあたりの冷暖房能力を表した数値です。
この通年エネルギー消費効率(APF)の数値が高いほど、省エネ能力に優れたエアコンということになります。
通年エネルギー消費効率(APF)はJIS C9612に基づき、以下の式で導き出すことができます。

通年エネルギー消費効率(APF)=1年間で必要な冷暖房能力の総和÷期間消費電力

なお、1年間で必要な冷暖房能力の総和は、冷房能力のkWごとに以下のように定められています。

冷房能力2.2kW 4408
冷房能力2.5kW 5010
冷房能力2.8kW 5611
冷房能力3.6kW 7214
冷房能力4.0kW 8015
冷房能力5.0kW 10019
冷房能力5.6kW 11222
冷房能力6.3kW 12624
冷房能力7.1kW 14227

エアコンにかかる電気代を計算する方法

エアコンにかかる電気代を計算する方法

エアコンにかかる電気代は、通常の家電のように消費電力ではなく、「期間消費電力」に電力量料金単価を掛けるよって導き出すことができます。

■ エアコンの年間電気代の計算式

1年間の電気代=期間消費電力(kW)× 電力量料金単価(円/kWh)

■ エアコンの月間電気代の計算式

1ヶ月の電気代=期間消費電力(kW)×電力量料金単価(円/kWh)÷12(ヶ月)

■ エアコンの1日あたりの電気代の計算式

1日の電気代=期間消費電力(kW)×電力量料金単価(円/kWh)÷365(日)

冷房の電気代は1時間でいくらかかる?

最新エアコンほど電気代は安い!

エアコンの冷房を1時間使用してかかる電気代ですが、こちらも状況によって変動する消費電力では正確な数値を出すのが難しくなっています。

そのため、まず冷房期間(5月23日~10月4日の135日間)の「期間消費電力」に「電力量料金単価(円/kWh)」を掛けて冷房期間中にかかる電気代を導き出します。その電気代を冷房期間の日数135日で割り、さらに使用時間の18時間で割ることで導き出すことができます。

実際に発売中のパナソニック「Xシリーズ」の機種で、冷房1時間あたりの電気代を見てみましょう。

■ パナソニック「Xシリーズ」の冷房1時間あたりの電気代

6畳用(166kWh) 1.8円
8畳用(190kWh) 2.0円
10畳用(203kWh) 2.2円
12畳用(296kWh) 3.2円
14畳用(333kWh) 3.6円
18畳用(466kWh) 5.0円
20畳用(570kWh) 6.1円
23畳用(662kWh) 7.1円
26畳用(819kWh) 8.8円
29畳用(1,022kWh) 10.9円

※電気量料金単価は、東京電力「従量電灯Bプラン」の第2段階料金の「26円/1kWh」にて計算しています。
※上記の電気代は目安です。エアコンの機種や使用する環境などによって、1時間あたりの電気代は異なります。

暖房の電気代は1時間でいくらかかる?

エアコンの暖房を1時間使用してかかる電気代ですが、こちらも状況によって変動する消費電力では正確な数値を出すのが難しくなっています。

そのため、まず暖房期間(11月8日~4月16日の160日間)の「期間消費電力」に「電力量料金単価(円/kWh)」を掛けて暖房期間中にかかる電気代を導き出します。その電気代を暖房期間の日数160日で割り、さらに使用時間の18時間で割ることで導き出すことができます。

実際に発売中のパナソニック「Xシリーズ」の機種で、暖房1時間あたりの電気代を見てみましょう。

■ パナソニック「Xシリーズ」の暖房1時間あたりの電気代

6畳用(420kWh) 3.8円
8畳用(486kWh) 4.4円
10畳用(543kWh) 4.9円
12畳用(736kWh) 6.6円
14畳用(849kWh) 7.7円
18畳用(1,139kWh) 10.3円
20畳用(1,321kWh) 11.9円
23畳用(1,540kWh) 13.9円
26畳用(1,836kWh) 16.6円
29畳用(2,316kWh) 20.9円

※電気量料金単価は、東京電力「従量電灯Bプラン」の第2段階料金の「26円/1kWh」にて計算しています。
※上記の電気代は目安です。エアコンの機種や使用する環境などによって、1時間あたりの電気代は異なります。

最新エアコンほど電気代は安い!

エアコンがずっと故障せず、10年以上使っている人も多く居るのではないでしょうか。
しかし、最新エアコンのほうが省エネ性能に優れているため、電気代も大幅に安くなります。

最新エアコンの電気代(年間)
ダイキン製AN22WRS-W(期間消費電力量:630kWh)
16,380円
10年前のエアコンの電気代(年間)
ダイキン製S22JTNS(期間消費電力量:918kWh)
23,868円
15年前のエアコンの電気代(年間)
ダイキン製S22ETDS(期間消費電力量:978kWh)
25,428円

※電気代はあくまでも目安です。エアコンの機種や使用する環境、時間などにより異なります。
※電気量料金単価は、東京電力「従量電灯Bプラン」の第2段階料金の「26円/1kWh」にて計算しています。※期間消費電力量はエアコンを1年間、冷暖房で使用した際にかかる電力量の目安です。

上記の結果で分かる通り、最新エアコンに交換することで、10年前エアコンと比べて「約32%減」、15年前のエアコンと比べて「約36%減」の電気代削減効果があることが分かります。

金額で比較すると、15年前のエアコンと最新のエアコンを比べた場合、9,000円近く違ってきます。15年前のエアコンをもう5年使い続けたとしたら、最新のエアコンよりも45,000円高い電気代を払うことになります。そうした金額差を踏まえて、買い替えるかどうかを検討してみるのもひとつです。

コストを理解して納得できる電気代削減を

世代ごとのエアコンの性能差から電気代を考えてみましたが、いかがでしたでしょうか。

買い替える場合には工事費用・処分費用が発生する場合もありますが、最新のエアコンには便利な機能や節約機能なども搭載されているため、電気代の低さ以外にも買い替えのメリットがある場合が多いです。

この記事が、納得できるエアコンの買い替えの助けになれば幸いです。
何より、過度に節約を意識してしまうあまりエアコンの稼働を控えた結果、熱中症などにならないよう十分にお気を付けください。

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